自信よりも大事な物

個別指導base栗東校 吉村です。

6月に入り先月やっと終わった中間テストから束の間、
受験生の方は実力テスト、V模試、そして期末テストと
余りのテストの多さに若干カルチャーショックなのではないでしょうか。
テストに慣れるという意味ではこの怒涛のラッシュはよい機会ですし、
よい結果が出れば、それだけ自信にも繋がるというものです。

しかしながら、
「自信を持つにはどうすればいいか?」
「私は自信がなくて困っている」
という方は多いと思います。

本日はそんな方に向けたお話しです。

まずそもそも、「自信」って何でしょうか?


自信とは、読んで字のごとく「自分を信じること」。
では「信じる」とは何でしょうか。

それこそ「神を信じる」などの言葉もあるように、
「本当にそうなのか分からないが、とにかく固くそうであると考えること」
となります。

たとえば
「ネコはニャーと鳴くと信じている!」とか
「自分が中学生であると信じている」なんて言うことはないですよね。

もしそう言う人がいたら
「いや信じるまでもなく、事実じゃん! 何言ってんの!?」
と思うはずです。
また
「あなたは裏切らないって信じてる!」と言えば、
「裏切るか裏切らないか分からないけど、たぶん裏切らないと思う。ていうか裏切らないでね?」
という無言の強制です。

何にせよ「信じる」というのは「本当にそうか分からないけど、そうだと強く考えます!」という意味。

すなわち「自信」については、
「自分ができる人間か分からないけど、できる人間だと考える」
ことです。
自信を持って「俺はすごい!」「私はできる!」と思っていれば、実際に本人も強い存在になっていく可能性があるわけです。
そういう意味で、自信はとても重要なのです。

しかし、自信には落とし穴もあるのです。

「自信」の一番のデメリットは、自信をキズつけることを恐れて、チャレンジしづらくなるということ。
「自分は勉強ができる!」と思っている人が、より一層難しい問題にチャレンジすることを控えたりもします。
自信」という言葉が一人歩きしすぎているのも問題。
世の中では「自信を持ちなさい!」「自信は大切だ!」という風潮があります。

それによって
「自信を持ってない自分はダメだ…!」
「どうやったら自信を持てるだろう…! 自信が持てたら、もっと色々な行動ができるのに…!」
なんて思ってしまい、「自信がないゆえに何もできない」なんていう人もいます。

実際、自信は大半が「条件つき」です。
たとえば「自分は自信があります!」という人がいたとします。
この人に「どうして自信があるんですか?」と聞いたら、

「前回のテストで良い点をとっているから」
「前学期で良い成績をとっているから」

なんて風に「理由」が出てくるものです。
しかしこれ、逆に考えれば、成績や点数を落としてしまうと「自信を失う」結果になってしまいます。
これはあまりに弱々しい状態です。

某大学の教育心理学者は「自信よりもずっと重要なものは『セルフ・コンパッション』である」
と言いました。

コンパッションは「思いやり」や「慈しみ」という意味。
すなわち『セルフ・コンパッション』とは、「自分への思いやり・慈しみ」です。

日本語にするなら「自慈(じじ)」なんて訳が当てはまるかもしれません。
何にせよ『セルフ・コンパッション』。
分かりやすく言うなら、親が子供にたいして抱くような愛でしょう。

親は子供がどんな失敗をしても、見捨てたりしません。
間違ったことをしたら、もちろん反省を促しますが、だからといって
「あなたは何やらせてもダメだ! 間違った存在なんだ!」
なんて言うことはありません。何をしても、根本的に子供の存在を受け入れています。
うまく行かないときは励まし、成功したときは大喜びしてあげたりします。

このような気持ちこそが「セルフ・コンパッション」なのです。

よって大切なのは、これを自分自身に抱くこと。
これこそが「自信」なんていう、あいまいで弱々しいものより、ずっと強く、気持ちを高めるキーワードになるのです。