こんばんは。個別指導base 山城です。
童話作家・新美南吉が今年、生誕100年を迎えました。
今日は彼についてお伝えしたいと思います。
代表作「ごんぎつね」は全社の教科書で30年以上採用されています。
なんと彼は18歳で「ごんぎつね」を書いたのです。びっくりです。
初めて教科書に掲載されたのが1956年。1980年以降は国語の教材として
現在まで愛され続けています。美しい文章表現のほか、子供たちの心を揺さぶる
結末も高い評価を得ています。主人公ごんの死で終わる悲劇であり、悲哀と愛の
入り交じった作品として有名ですが、明るい話が好まれる児童文学にあって
どうしてこの異色の物語が生まれたのでしょう。
読み深めていくと「確かにいたずらが過ぎたかもしれないが精一杯の反省をし、
償いをしたごんも悪くないし、兵十も悪くない。誰が悪いわけでもないのに
こういうことが起きてしまう。」と気がつきます。
「世の中には尽くしても尽くしても、わかってもらえないことがある。」と新美南吉は
語っています。こうしたすれ違いや不条理な現実こそ、「ごんぎつね」のテーマと
いえるのでしょう。また、彼が4歳で母を亡くし、埋めようのない孤独を抱えてきた
背景も影響しています。中学生の頃に「物語には悲哀がなくてはならない。悲哀は
愛に変わる。」と日記につづったと聞いて驚かされました。
不条理な現実に触れる体験は、自分の悲しみや不満に耐える強さを与えてくれる。
そして、すれ違う相手を受け入れる優しさも教えてくれる。
物語の深い内容は複雑な人間関係の中を生きる現代の子供たちへの彼からのメッセージなのでしょう。
感動の名作ありがとうございます。